この記事はデジクリ アドベントカレンダー 2020 4日目の記事です。
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こんにちは、17期のみるおです。
2020年度のデジクリAdvent Calendarに参加することになったのですが、せっかくの機会ですので私が中学時代からCGアニメーションの制作活動を続けてきたうえで意識してきた "アニメーションの12の原則” について、数日間にわけてブログ記事として書き留めていこうと思います。
まあ趣味でやってきた私が「最強のアニメーション」を作れるようになるとまではさすがに約束できませんが、 この"12の原則"をうまく使いこなせるかがプロとアマチュアの分け目の一つだということだけは自信を持って言えます。
この12の原則はBlenderやうごメモなど、特定のソフトに限定されることなく、 3DCGからモーショングラフィックスと動きの芸術と言える分野全般に活かせる知識ですので是非覚えておいてください。
流れとしては、今日の記事でアニメーションの12の原則がそもそも何かについて軽く触れ、 そして次の記事から12の原則一つ一つについて数回にわけて深く解説していくつもりです。
導入 ━ 12の原則ってなんぞや。
忙しい人向けに言うと、
「”生命を吹き込まれた動き”(物理法則に従っていて、かつ魅力的な動き)をしているように見えるアニメーションを作るためにはこれを意識していこうぜ~」
ということを12個のポイントに分けて言ってるだけです。
©Disney
この ”The 12 principles of animation(アニメーションの12の原則)” は、数々の名作アニメーションを生み出してきたあのウォルト・ディズニー・スタジオの、創設期からの古参アニメーターたちであるFrank Thomas氏とOllie Johnston氏が1981年に出版した本 "The Illusion of Life(生命を吹き込む魔法)" の『第3章 アニメーションの原則』で紹介されたものです。この本は一部から「アニメーションの聖書」とも評価されおり、12の原則自体も欧米におけるアニメーションの主流がCGとなった今もなお意識されてきています。
例えば、Blizzard社が販売しているFPSゲームのOverwatch。このゲームには試合終了後に最も活躍したプレイヤーのハイライトのリプレイが再生される "Play Of The Game" というギミックがありますが、その時に流れるアニメーションの再生速度を遅くすると、この12の原則が活用されているところがはっきりと見えます。
©Blizzard
初見だと思わず笑っちゃいそうな、
マクリーの前転中の顔芸も、銃を出した時に伸びる手も Follow Through and Overlapping Action(あと追いの工夫)というれっきとした12の原則の一つを使った意図的なアニメーションの工夫です。
そもそも動画というのは、画像を複数枚連続に並べて、それらを人間が見ていて ”動いている” と思わせるぐらいの超スピードで切り替えていくだまし絵の一種なので、こういうワンフレームでは腕が異常に伸びているような芸当をしても許されるのです。私もOverwatchをプレイしていた頃はまさかこんな動きをしていたとは気づけませんでしたよ。
うまくこういう映像のトリックを使いこなせるとカッコいいですよね、わかります。
ただ、なぜこれをしているのかを知らずにでたらめにキャラの形を崩すのは逆に視聴者にキャラが物理法則を無視して動いている印象を与えてしまいます。これだと事故ってただの作画崩壊になりかねません。これを適切に使いこなすためにもアニメーションの12の原則は知っておくべきなのです。
ということで、以下にそのアニメーションの12の原則を列挙していきます。↓
The 12 principles of animation
- Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
- Anticipation(予備動作)
- Staging(演出)
- Straight Ahead Action and Pose-to-Pose Action(逐次描きと原画による設計)
- Follow Through and Overlapping Action(あと追いの工夫)
- Slow In and Slow Out(両端詰め)
- Arcs(運動曲線)
- Secondary Action(副次アクション)
- Timing(タイミング)
- Exaggeration(誇張)
- Solid Drawing(実質感のある絵)
- Appeal(アピール)
なんだか英語や日本語が混じっていてごちゃごちゃしていますね。大丈夫です。次の記事から原則一つ一つが何なのか見ていきますが、gifやYouTubeの動画を用いてなるべく視覚的に分かりやすいように解説するつもりです。
記事を全部読み終わっているころには自然とわかってくるよ(きっと)
これからについて
なかなかに大雑把な説明でしたが、私の執筆力に限界が来ているのでここで一度説明を終わりにします。今すぐもっと知りたいという方は下にいろいろと参考になった講座動画のリンクを貼っているのでそこから調べてみてください。
アドカレが終わったら執筆と説明の筋トレが必要ですね…
さて、私も次の記事からgifやYouTubeの動画を用いて12の原則一つ一つについて解説していくとは言いましたが、外部の先人たちが作ったとても分かりやすい動画がネットにあるのでそれらをいくつか使っていくつもりです。ただ、それだけだとなんだかデジクリの味がないので(???)、うちのサークルのマスコットVTuberであるデジコちゃんを主役としたアニメーションgifをいくつか用意してきます。モデルは15期のTaka先輩が作ってくださいました。とてもかわいい。
この子が次から動きます。よろしくお願いします。
次の記事は、
- Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
- Anticipation(予備動作)
- Staging(演出)
- Straight Ahead Action and Pose-to-Pose Action(逐次描きと原画による設計)
の4つを解説していきます。ということはあと3回分はこの12の原則についての記事が出る感じですかね。
一緒に頑張ってアニメーションの12の原則について学んでいきましょう。私もあまりこういう知識を今までアウトプットしてこなかったので、素人文章とはなりますがどうかよろしくお願いします。
以下に今回この記事を書くにあたって参考にした動画やウェブサイトのリンクを貼っておきます。↓
ここまで読んでくださりありがとうございました。それではまたの機会に。
外部リンク
https://youtu.be/uDqjIdI4bF4 Alan Becker氏の12の原則についてのYouTube講座です。まずこれを見るべきです。ネット上で一番わかりやすい。英語を恐れず見てみましょう。
https://the12principles.tumblr.com/ 12の原則を立方体で簡単に表したアニメーションをまとめたTumblrのサイトです。時間がないひと向け。
https://liclog.net/12-principal-of-animation/ これも12の原則を日本語でうまくまとめてあるLIC氏のブログ記事です。実際にディズニーアニメーションで見られる実用例もかねて説明しています。12の原則の日本語訳もここのものを引用しました。
明日のアドカレの記事は…
誰もいない…だと?これは私が怪文書を書くしかなさそうですねぇ…
(後生だから誰か記事を書いて私を止めてくれ)