この記事はデジクリ アドベントカレンダー 2020 9日目の記事です。
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こんにちは、17期のみるおです。
今日からはアドカレ4日目で紹介した "アニメーションの12の原則" について深く解説していきます。なんの話だ??となった方はこの12の原則の概要を説明していますので、上のリンクから飛んでください。
この回で触れる原則は、
- Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
- Anticipation(予備動作)
- Staging(演出)
- Straight Ahead Action and Pose-to-Pose Action(逐次描きと原画による設計)
の4つです。早速本題に入りましょう。 (一部のGIFはAlan Becker氏の12 Principles of Animationから引用しています)
1. Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
アニメーションでは、動く物体の形を伸ばしたり潰すことで速さ、はずみ、重さと質量をよりはっきりと表現できます。
© Alan Becker - The 12 Principles of Animation
動画にあったように「潰しと伸ばし」の度合いを強くすると、物体に水風船のような柔らかくふわふわした印象を、逆にあまり「潰しと伸ばし」を使わないと無機質でガツンとした印象を物体に与えられます。与えたい印象に応じて度合いを調節していきましょう。
もちろんこの原則はキャラクターの動き・表情表現にも使えます。下のように「潰しと伸ばし」があるほうがキャラクターの躍動感がうまく表現できてグッドです。
そして一つ気を付けてほしいのが伸ばしたり潰すときには物体の比率をなるべく保つというルールを守ることです。引き延ばしたら物体をより細く、逆につぶすときは太くしていきましょう。これを守らないと違和感の原因になります。私も知りたてのころはよくやらかした間違いです。
この原則は3DCGの骨格式リグだと手書きや2Dスプライトよりかはなかなか実装しにくそうですが、ちゃんとできます。ボーンの回転ツール以外にも移動やサイズ変更のツールを使ってみましょう。慣れないうちは怖い感じがしますが、回転以外のこの2つのツールを使いこなせるととても強力な武器になります。
2.Anticipation(予備動作)
予備動作を入れると、これから対象のキャラクターが次にどう動くのかをあらかじめ観客へ間接的に伝えることができます。
© Alan Becker - The 12 Principles of Animation
パンチをしたり、ジャンプを行う際には腕を引いたり屈伸をして力を溜めますよね?この溜めの動作がここで言う予備動作となります。間にワンテンポこういった動作を置くと、目線がこれから動く体の部位に行ったり、観客の理解がアニメーションの展開に追いつきやすくなったりするのでそういった意味でも大切です。
Squash and Stretchで見せたこのデジコのアニメーションも実は予備動作を使っています。最初と最後のポーズは両方とも同じですが、そこに至るまでの動き次第でこんなにクオリティが違ってきます。こういう溜めの間があるとよりアニメーションが魅力的に見えますね。
3.Staging(演出)
アニメーションを作るうえでは、間違いの余地がないほどにはっきりとした演出をするべしという話です。
© Alan Becker - The 12 Principles of Animation
別の言い方をすると、アニメーション内でいっぺんに色々起こしたりして、観客が迷子になるということが起こらないように気を付けて演出しようという話です。
この原則はキャラクターの演技だけでなく、タイミング、カメラの角度と位置、そして舞台設定など、幅広い分野で適応することができます。これらを駆使してアニメーション内で起こる出来事を見逃させないよう観客の目線をうまく誘導していきましょう。これのいい例が左の動画、悪い例が右の動画になります。
© Alan Becker - The 12 Principles of Animation
もちろん目線誘導だけが演出のミソというわけではありません。動画であったようにキャラクターの悲しさを表現したかったら雨を降らせたり、ぽっちゃりさを表現したかったらカメラのアングルを下からにしてみたりと、工夫を凝らして心情・特徴表現にインパクトをより持たせるのもうまい演出の一つと言えます。動画の例だとちょっと大げさでベタに感じるかもしれませんが、演出はちょっと大げさぐらいが観客にとって面白かったりするものです。
© Alan Becker - The 12 Principles of Animation
4.Straight Ahead Action and Pose-to-Pose Action(逐次描きと原画による設計)
アニメーションを最初から次々とフレームを描いていくか(Straight Ahead)、最初と最後をどんどん補完する形でフレームを描いていくか(Pose to Pose)。アニメーションの2通りの描き方についてです。
© Alan Becker - The 12 Principles of Animation
基本的にキャラクターの動きに対しては全体像が作業初期から見えやすい Pose to Pose 技法が向いています。アニメーションを描いている途中で「なんかこのポーズ変な感じする」と一部の場面を修正したくなっても Pose to Pose なら Straight Aheadと違って修正するフレームが少なくて済みます。
© Alan Becker - The 12 Principles of Animation
対して、Straight Ahead 技法は炎や水しぶきなど、次に何が起こるか予測しづらい物理現象を描くのに向いています。キャラクターの髪や耳のアニメーションも、まず本体の動きを Pose to Pose で一通り作ってからその上に Straight Ahead で描いていくという工夫ができたりします。
終わりに
今回はここまでです。お疲れ様でした。
正直なところ、もっとデジコのアニメーションを作ってみたかったのですが、あまり良さそうな原則の適応例が思いつかなかったのでひとまずはこれで。
次の記事では、
- Follow Through and Overlapping Action(あと追いの工夫)
- Slow In and Slow Out(両端詰め)
- Arcs(運動曲線)
- Secondary Action(副次アクション)
の4つを解説していきます。(なぜか5,6,7,8じゃなくて1,2,3,4になってるけど気にしないで…)
ただそろそろUnityでのゲーム制作だったり大学の勉強など他のことにもそろそろ集中したいのでしばらくブログ記事制作はお休みします…来年の1月末までにはこのシリーズを完結させるつもりです(意外と近い!)
この記事もまだ書き足りていないところも全然あるので随時更新していきたいと考えています。よろしくお願いします。
では、またの機会に。